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お疲れ様です、早川です。
今回のテーマは「保有効果と現状維持バイアス」です。
この心理現象に対する理解を深めていけば、
それをあなた自身の「利益」に繋げる事も十分に可能になります。
下記で詳しく解説しているのでぜひ参考にしていってください。
保有効果とは?
「保有効果」は別名「授かり効果」とも呼ばれるもので、
「人は自分が所有するものに高い価値を感じ、
それを手放す事に強い抵抗を抱く心理現象」
の事を表します。
・着ない服や使わないものを捨てるに捨てれない。
・長年愛用したものを手放せない。
こんな経験誰しも1度は経験した事あると思いますが、
このような事例は保有効果が働いているケースが大半です。
保有効果の具体例。
例えば、あなたがペットショップで5万円の犬を購入したとします。
そしてその犬と2年間の月日を共に過ごした後、
その犬を目にした知人から
「良かったらその犬を10万円で譲ってくれないか?」
と頼まれました。
さて、あなたならその犬を10万円で知人に譲りますか?
その犬は元々ペットショップで5万円で購入したものなので、
10万円で譲る事で「5万円プラス」になります。
でも、おそらくそれでも「譲りたくない」と感じるのではないでしょうか。
むしろ「15万でも20万でも譲りたくない!」と感じる人も多いと思います。
最初は5万円で購入した犬。
でもその犬と2年間もの月日を共に過ごしていく中で、
10万円以上の価値をその犬に感じているという事です。
ちなみにこの保有効果は物理的な「モノ」だけでなく、
地位や名誉などの抽象的なものにも働きます。
だから会社でそれなりの地位まで上り詰めた人は、
その地位を手放す事に強い抵抗を感じるケースが多いんですね。
保有効果を証明したマグカップの実験。
行動経済学者のダニエル・カーネマン氏は、
この保有効果を下記のような実験で証明しました。
まず、被験者の学生をランダムに2つ(AとB)のグループに分け、
グループAの学生にだけ「マグカップ」をプレゼントします。
そしてその後、被験者の学生達に
「反対のグループにこのマグカップを売るならいくらで売ってもいいか?」
と尋ねたところ、
マグカップをプレゼントされたグループA:約700円
マグカップをもらっていないグループB:約300円
という結果に。
そのマグカップの元々の価格は「約500円」だったんですがこの実験で、
「そのマグカップが1度自分のものになっただけ」
で、
「手に入れてない状態よりも2倍以上の価値を感じる」
事が分かったわけです。
保有効果が働く理由と「プロスペクト理論」の関係。
じゃあ、なぜ人は1度手に入れたものを手放す事に、
強い抵抗を感じるのでしょうか?
もちろん、
「1度手にいれる事で愛着が湧くから」
などといった理由もあると思いますが、
その最も大きな理由は「プロスペクト理論」にあるとされています。
プロスペクト理論は
「人は利益を得る事より損失をこうむる事を嫌い、
利益を得た時の喜びよりも損失をこうむった時の痛みの方が2倍以上も強い」
という事を発見した理論になります。
そんなプロスペクト理論については下記の記事で解説していますが、
→プロスペクト理論と損失回避バイアスとは?「意思決定」を左右する心理をマーケティングに活かす。
要するに僕たち人間は「利益を得た時の喜び」を「1」で表すなら、
「損失をこうむった時の痛み」が「2以上」だという事です。
つまり、先ほどのマグカップの実験でいうと、
「マグカップを手に入れた時の喜びよりそのマグカップを失う悲しみの方が強い」
からこそ、
「マグカップをプレゼントされたグループAは安い価格で手放したくなかった」
わけです。
保有効果と現状維持バイアス。「現状を維持しようとする」人間の習性。
そして、そんな保有効果に似た心理現象に「現状維持バイアス」があります。
現状維持バイアスっていうのは簡単に言うと、
「何か大きな理由がない限り、
人は変化を避けて現状を維持しようとする傾向にある」
という心理現象です。
例えば、あなたがA社のスマホを持っていて、
「A社のスマホよりも価格は高いけど豊富な機能があるB社のスマホ」
があるとします。
あなたはもっと豊富な機能のスマホが欲しくて、
B社のスマホの方が適切なんですが、買い換えますか?買い換えませんか?
1度、よく考えてみてください。
じゃあ次。
先ほどとは逆であなたはB社のスマホを持っていて、
「B社のスマホよりも価格は安いけど機能が劣るA社のスマホ」
があるとします。
買い換えますか?買い換えませんか?
・・普通に考えれば「機能性を重視」する人は「B社のスマホ」に、
「価格を重視」する人は「A社のスマホ」に買い替えそうなものですが、
この質問を投げかけられた人の殆どが
「スマホを買い替えない」
という選択をする事が分かっています。
要するにどちらの質問でも「現状維持」を選ぶ人の方が圧倒的に多く、
「人はよっぽどの理由がない限り現状を維持しようとする」
わけで、これが現状維持バイアスです。
しかもこの現状維持バイアスは、
「一刻も早く現状を改善した方がいい場合にも働く」から厄介です。
例えば毎日残業だらけで残業代も支給されず、
休みもまともにもらえないブラック企業で働いている場合、
どう考えたって「そんな会社今すぐ辞めた方がいい」ですよね。
実際にあなたの友人や家族がこんな会社で働いてたら、
そうやってアドバイスすると思います。
でも、その会社で働いている人からすれば、
「この会社を辞めて就職先を探すくらいならとりあえず今はこのままで・・」
という現状維持バイアスが働くので、
「やめない」
という選択をする人も多いわけです。
また、
・「別れたい」と思ってる恋人とダラダラ関係を続けてしまう
・数年前から「やりたい」と思ってる事に未だに挑戦できてない
・赤字事業から撤退できない(コンコルド効果)
なんかも現状維持バイアスが働いている典型的な例ですね。
ただ、「現状維持」する事によって、
あなたの人生が良くない方向に進んでしまう事も十分に考えられますので、
だから僕は「現状維持は退化と同じ」という考えを持っています。
保有効果と現状維持バイアスをマーケティングに活かすには。
さて、そんな保有効果ですが、
マーケティングにもこの保有効果はよく使われています。
保有効果はここまで解説した通り、
「人は一度手に入れると手放したくなくなる」
という心理現象なわけですから、逆に考えると、
「1度手に入れてもらう事さえできれば保有効果を働きかける事ができる」
という事になります。
そしてその最も分かりやすい例が「無料お試し」です。
「1ヶ月間無料でこの商品(やサービス)をお試しできます。」
こういったマーケティング戦略を「フリー戦略」と呼んだりしますが、
このようなマーケティングを図っている商品や会社を、
あなたも1度は見た事あると思います。
このようにその商品やサービスを1度手にとってもらう事で、
その相手に「保有効果」が働くので、その無料お試し期間を過ぎると、
「手放したくない」→「だからお金を払って購入しよう」
となるわけです。
「無料でお試しさせてくれるなんてこの会社太っ腹やな!」
と思うかもしれませんが、
こういった「無料お試し」なんかを大々的に打ち出している
商品や会社の狙いは「ここ」にあるわけですね。
そしてその商品やサービスが携帯電話などの
「継続的な使用や課金が見込めるもの」であれば、
購入者に現状維持バイアスが働いて、
「そこから長期的な利益が得られる」・・という図式。
ソフトバンクなんかはまさにこのフリー戦略で、
携帯電話事業を伸ばしたという事実があります。
また、車の試乗、服や腕時計の試着なんかにも同じ狙いがあります。
実際、買うつもりがなくても試乗や試着をする事で、
「その商品が欲しくなった」
という経験がある方も少なくないのではないでしょうか。
(僕もめちゃくちゃあります。)
その理由は、
保有効果は「完全に自分のものになっていなくても働く」
からです。
この保有効果は
「完全に自分のものになっていなくても働く」
ので、試乗や試着といった「お試し」をする事で、
「その商品を手に入れた際の疑似体験」
ができる事になります。
だからこそ、その商品を購入してなくても保有効果が働き、
結果として「手放したくなくなる」んですね。
それを踏まえるとコピーライティングでも、
「あたかもその商品を手に入れたかのようなイメージ」
を見込み客に持ってもらう事ができれば、
保有効果を働きかける事ができます。
例えば、
「1度、この商品を使っている姿を想像してみてください。」
というような書き出しから
「読み手がその商品やサービスを手に取っている(使っている)サマ」
をリアルにイメージさせる事ができれば、
そこから保有効果を働きかける事が可能になります。
また、情報発信ビジネスで
何かしらのサポートやコンサルなどを打ち出しているのであれば、
「コンサルやサポートの無料お試し」
↓
「期間を過ぎると保有効果(手放したくないという思い)が働き、お金を支払う」
↓
「現状維持バイアスによる長期的なコンサルやサポートの継続」
というような仕組みを構築して、
そこから長期的な利益に繋げる事もできるわけです。
ただ、
「その商品やサービスが粗悪なものだと無料お試しの時点で解約される」
ので、この保有効果をマーケティングに活かしていく場合は、
こういったポイントにも注意しておくと良いと思います。
ぜひ、参考にしていってください。
では、今回はこの辺で。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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